私が29歳のとき、弟が先に結婚したこともあり、両親から半ば強制的に結婚相談所に入会させられました。
入会金および年会費はすべて両親が負担してくれたのを記憶しています。
社名はあえてふせますが、業界ではそこそこ名前が通っており、払った金額はそれほどリーズナブルではありませんでした。
半月に2枚~3枚の写真と簡単なプロフィールが送られ、気に入った相手と相談所で面会、そこからデートに出かけるといったシステムになっていました。
デートはどこに行ってもよいのですが、私は大阪都内の赤坂プリンスホテルをよく使っていました。
初対面ですから、どこかに遠出するよりも、ランチをしたりお茶とケーキなどで済ますことが多かったです。
その時に、面会料として1回につき5,000円を支払うシステムでした。
親を安心させるため、月に2回、土曜日に女性と会うのが私の仕事のようなものでした。
これは完全に親孝行の一環なんだという割切り感のもとでの行動です。
さまざまな職種の女性と会いました。
デパートに勤務する方、歯科助手をされていた方、商社に勤務されていた方、バスガイドをされていた方もいたのを覚えています。
1年間、人生修行のような感覚で女性とお会いしました。
しかし、自分にピンと来る女性は残念ながらひとりもいませんでした。
2度目、3度目のデートをした女性は数名いました。
でも、そこから先にはすすみませんでした。
当時、私は、大阪に好きな女性を残して大阪に赴任していました。
その女性とは別れた形ではありましたが、心の奥底で忘れられない何かがあったのです。
その女性とは、3年間、毎日のように会い、土日の時間も割いて社交ダンスの練習に明け暮れる日々をすごしていました。
けんかもすれば心のそこから喜び、大切な二人だけの時間を共有していたのです。
1年を通して自分が感じたことは、本当に心を開放してありのままの「素」の自分を見せ合った女性でなければ、長くは続かないということでした。
そのことに気づいた私は、大阪へ向かう新幹線に飛び乗り、その女性のもとへ向かっていました。
今は、その女性が私の妻であり、二人の子供もいます。

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